Day 15【Barcelona: Parc Güell, Casa Vicens, Sagrada Família & Casa Batlló】(2026/5/6)

park-guell 2026 Spring UK & Spain – Van Morrison & Flamenco

7:00 起床
今日はガウディが手掛けたグエル公園、カサ・ビセンス、サグラダ・ファミリア、カサ・バトリョの4つの世界遺産を巡る予定。サグラダ・ファミリアは昨日に続く再訪となるが、今回は生誕のファサードに上る。

9:30 グエル公園
ホテルから歩くと1時間も掛かるため、タクシーを利用。開園時間に到着したところ、すでに長蛇の列だ。朝一番の入園を計画していたので、チケットは事前に予約済み。

チケットは事前予約必須

グエル公園(Parc Güell)について
グエル公園は、ガウディが実業家エウゼビ・グエルの依頼を受け、1900年から1914年にかけて住宅地開発プロジェクトとして手掛けた。当初は富裕層向けの住宅地として計画されたが、販売が振るわず、計画は頓挫した。その後、市の公園として開放され、1984年に世界遺産に登録された。自然と建築を融合させた、ガウディの代表作の一つ。

【ドラゴンの階段】
「自然広場」を通って、「ドラゴンの階段」へ向かう。最初にグエル公園の象徴ともいえる「モザイクのドラゴン(サンショウウオ)」を見に行くのだ。

自然広場
開放感溢れる広場

目論見通り、まだ観光客はまばら。

ドラゴンの階段
観光客はまばら

「モザイクのドラゴン(サンショウウオ)」の色鮮やかな造形を色々な角度からじっくり見ることができた。割れた陶器やタイルの破片を組み合わせるこのモザイク技法は、「トレンカディス(Trencadís)」と呼ばれる。

モザイクのドラゴン(サンショウウオ)
トレンカディス技法
色々な角度から見る
公園出口方面を見る

【列柱ホール】
ドラゴンの階段を上ると、列柱に支えられたホールがあった(天井の上は、先ほど通った自然広場)。

列柱ホール
ドラゴンの階段方向を見る

シンプルなデザインのホールだが、天井の飾りは何を表しているのだろう。空に浮かぶ太陽や星のようにも、海底に漂うヒトデにも見える。

天井の飾り
星かヒトデか・・・

天井の装飾をデザインしたのは、ガウディの協力者ジュゼップ・マリア・ジュジョール。

【洗濯女の回廊】
列柱ホールの階段を下りると、唐突に原始の世界が広がる。色彩豊かなドラゴンの階段と列柱ホールからすぐのところにあるとは思えない、茶色と緑色の世界。

洗濯女の回廊
茶色と緑色の世界

整然と柱が並ぶホールとは対照的に、この回廊は波のうねりのような曲線を多用している。

曲線を多用した構造
有機的な柱

ただ、両者には共通点も感じる。それは、いずれも合理的なデザインだということ。自然の地形を活かしたように見えるこの回廊の柱と天井も、計算し尽くされているのだろう。

自然を活かしつつ、合理的な構造

ちなみに「洗濯女の回廊」という名前は、洗濯道具を頭に載せた女性の姿を模した柱が一本あることに由来するそうだ。残念ながら、その柱には気づかなかった。

【自然広場(かつてのギリシャ劇場)】
開園から1時間半が経過し、広場には多くの観光客がいた。

自然広場を外から見る
自然広場

ドラゴンの階段、列柱ホール、洗濯女の回廊といった見どころを巡り終え、しばしモザイク装飾のベンチで休憩。気温20℃。日差しは強いが、乾燥しているので快適。バルセロナの街並みと地中海を見ながら美しいベンチで休憩なんて、最高の贅沢だ。

ベンチで休憩
モザイク装飾のベンチ

広場の奥まで行くと、遠くにサグラダ・ファミリア、その先に地中海が見えた。

公園の施設越しにサグラダ・ファミリアと地中海が見える
サグラダ・ファミリア(後で行く)

【高架橋】
公園の入口の方に戻ると、土色の高架橋があった。先ほどの「洗濯女の回廊」と同じような質感と構造だが、ここでは橋の上を歩くことができる。

高架橋
高架橋下のスペース
高架橋は歩いて渡ることができる
曲線を多用したデザイン

橋の欄干は岩のベンチになっており、その両脇には松明のような巨大なオブジェ。オブジェの上部には、火の代わりに植物が植えられている。

座るのはちょっと怖い岩のベンチ
松明のようなオブジェ

この風景から連想したのは、映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』に登場する異星人「ロッキー」。その体表は、岩のようなゴツゴツした甲殻で覆われているのだ。岩でできたこの橋もロッキーのように動き出しそうだ。

今にも動き出しそうな岩

この公園で最も異世界感が強かったのが、この高架橋だった。

【カルバリの丘(Turó de les Tres Creus/三つの十字架の丘)】
坂を上って高台に出ると、石を積み上げた小高い丘に3本の十字架が立っていた。「カルバリの丘」と呼ばれ、キリストが磔にされたゴルゴダの丘を象徴している。

カルバリの丘

高台からは、イエスの塔に十字架が設置されたサグラダ・ファミリアが綺麗に見えた。

天気最高!

11:45 グエル公園を出る
行きたいところをすべてじっくり見て、公園には2時間15分ほど滞在したことになる。園内の「ガウディの家博物館」(別途チケットが必要)も見学する場合は、もっと時間が必要だろう。

正面入口近くの休憩所(?)
出口(正面入口)から園内を望む

新市街を通って、次の目的地であるカサ・ビセンスへ向かう(徒歩約20分)。時間が惜しいので、昼食はホテルの朝食会場でもらったバナナを歩きながら食べて済ませる。

新市街を歩く
坂の多い街

12:10 カサ・ビセンス

カサ・ビセンス
異世界への入口

カサ・ビセンス(Casa Vicens)について
カサ・ビセンスは、ガウディが実業家マヌエル・ビセンスの夏の別荘として設計し、1883~1885年に建設された住宅。ガウディが初めて手掛けた本格的な住宅建築であり、建築家としての出発点を示す作品だ。イスラム建築の影響を受けた幾何学的な装飾や、色鮮やかなタイルが特徴。2005年に世界遺産に登録された。

チケットを購入して敷地内に入ると、一気に南国の雰囲気。赤、白、緑、黄色といった鮮やかな色彩に、大きな開口部を設けた開放的な壁。ひまわりのような花柄のタイルも見える。

独特な色彩と開放的な壁
ひまわりのような花柄のタイル

館内に入ると、精緻な装飾を施したランプが目に入り、一見して桁違いの金持ちの邸宅だと分かる。

精緻な装飾を施したランプ
格子の柄が影を落とす

噴水のある半屋外の空間も開放的。温暖なスペインというお国柄もあるのだろうが、都市部でこれほど外とつながった建物は初めてだ。

噴水のある半屋外のスペース
涼しげな噴水
幾何学模様が床に影を落とす

天井の装飾も豪華だ。青空を背景にヤシの葉が広がっているが、実はこれ、絵なのだ。写真を見返すまで本物の葉っぱだと思っていた。恐るべし、ガウディ。

まるで本物のヤシの葉

隣の青と紫色の喫煙室に入って驚いた。数日前にグラナダのアルハンブラ宮殿で見た、鍾乳石のような「ムカルナス」と呼ばれる立体装飾が施されていたからだ。

喫煙室
ムカルナス装飾

まさか、ガウディの建築物でイスラム建築の影響を目の当たりにするとは。

少しアルハンブラ宮殿っぽい

これまで見た中で一番優雅で美しいトイレと浴室。

優雅なトイレ
優雅なバスルーム

バスルームの窓の格子が、床に幾何学模様を描く。

ここでも幾何学模様が影を落とす

階段を上ると、カサ・ビセンスに関する展示があり、その中にアルハンブラ宮殿のアラヤネスの中庭を撮影した19世紀の写真があった。数日前に訪れたばかりの場所だ。ガウディがイスラム建築から受けた影響を、思いがけない形で発見した。

アルハンブラ宮殿の写真

独特な窓枠。カサ・ビセンスの住人は、どんな気持ちで街を往来する人々を見下ろしていたのだろう。

独特な窓枠

さらに階段を上り、屋上に出る。

屋上の扉の装飾
建物の外観とマッチした屋上デザイン

初期の作品だからか、屋上スペースが狭いからか、昨日カサ・ミラの屋上で感じたガウディのコスモ(小宇宙)は感じられない。あくまで建物外観のトーン&マナーを踏襲した設計だ。

シンプルなデザイン
ここにも花柄のタイルが

カサ・ビセンスはイスラム建築の影響が色濃く、ガウディ建築の中でも異色に映る。これは発注主の嗜好なのか、それともガウディ自身の志向なのか。どちらの意向が強かったのだろうか。

イスラム建築の影響が色濃い

タクシーで次の目的地、サグラダ・ファミリアに向かう。

13:40 サグラダ・ファミリア着

サグラダ・ファミリア

【石の聖書】
生誕のファサードの「石の聖書」を見る。上から受胎告知、ベツレヘムの星、イエスの降誕が縦に連なり、その左右では三博士と羊飼いたちが誕生を祝う。

生誕のファサード
上から受胎告知、ベツレヘムの星、イエスの降誕

さらに、石の表面は植物や果実の装飾で埋め尽くされている。彫刻一つ一つは精密なのに、全体としては有機的で、成長を続ける巨木を見ているようだ。

石の聖書

彫刻群の中に、外尾悦郎さんが手掛けた「ハープを奏でる天使」を見つけた。ハープの弦を張るかどうかについては議論があり、最初は金属の弦を張ったものの、後に取り除き、見る者の想像力に委ねたという。

イエスの降誕を祝う天使像
ハープを奏でる天使像

確かに、耳を澄ませば、福音が聞こえてくるかのようだ。

生誕のファサードでは、亀が柱を背負っている。しかも、雨水を口から吐き出す雨樋の機能まで備えているという。ガウディの遊び心と機能性が同居した彫刻だ。こうしたディテールを楽しんでいると、いくら時間があっても足りない。

柱を背負う亀
口の部分から雨水が流れ出す

「信仰の門」の扉をよく見ると、トカゲやハエ、鳥など、さまざまな生き物がいる。

信仰の門の扉
トカゲとハエを見つけた

中でも、餌をねだるヒナ鳥の姿に「生」そのものを感じる。

餌を運ぶ親鳥
餌をねだるヒナ鳥

【生誕のファサード】
昨日は受難のファサードに上ったので、今日は午後に生誕のファサードに上る。生誕のファサードは北東向きで、午後の方が街並みを順光で見渡せるためだ。

指定時間にエレベーターで塔に上る

エレベーターを降りて塔と塔の間の渡り廊下に出ると、イエスの塔が間近に見える。昨年はまだ姿を見せていなかった巨大な十字架。その存在感は圧倒的だ。

2026年
2025年

さきほど地上から見上げた、司教冠をかたどった色鮮やかなモザイクや、緑の枝葉と白い鳩の彫刻も見える。枝葉が生い茂り、石の塔がまるで土でできているようだ。

司教冠をかたどった色鮮やかなモザイク
緑の枝葉と白い鳩の彫刻

植物や果物をかたどったオブジェの周辺には仮設トイレがあり、サグラダ・ファミリアが今も建設途中であることを実感する。

植物や果物をかたどったオブジェ
トイレを見て、ここが「職場」だと気づく

10分ほど眺望を楽しみ、階段で地上へ。

生誕のファサードの塔からの眺め
階段を下りる
何かのオブジェの裏側
階段を下りる途中でも眺望がよい

【教会内部】
太陽が西に傾き始め、西側のステンドグラスが赤く輝き出した。

西側のステンドグラスが赤く輝き始めた
天井を見上げる

刻々と燃え上がる赤い光を見ているうちに、あっという間に1時間が過ぎていた。

西側のステンドグラス
真っ赤に染まる礼拝堂

【受難のファサード】
昨日は塔に上った受難のファサードを、今日は地上から見上げる。

受難のファサード

十字架上のキリスト像のさらに上には、二つに裂けた布のような彫刻がある。これは、キリストが息を引き取ったときに裂けたという、エルサレム神殿の幕を表現したものだ。幕の奥には、子羊とギリシャ文字のアルファとオメガを描いたモザイク画が隠されているという。

モザイク画は幕で見えない

うーん、この絵を見てみたい。

地下のショップでステンドグラスに関する書籍としおりを買い、約2時間半のサグラダ・ファミリア観光終了。

お土産(自分用)

徒歩25分の距離にあるカサ・バトリョに向かう途中、少々疲れたのでレストランのテラス席で休憩。

レストランのテラス

ビールと濃厚なチョコレートケーキでエネルギー回復だ。

17:10 カサ・バトリョ

カサ・バトリョ(Casa Batlló)について
 カサ・バトリョは、バルセロナのグラシア通りに建つ、アントニ・ガウディの代表作の一つ。2005年に世界遺産「アントニ・ガウディの作品群」に追加登録された。もともとは1877年に建てられた集合住宅で、繊維業で財を成した実業家ジョゼップ・バトリョの依頼により、ガウディが1904〜1906年に大規模な改築を行った。

カサ・バトリョ

ガウディ建築の中でも、カサ・バトリョの外観は独特だ。波のようにうねる窓枠、青いガラス窓、青や緑のモザイクがきらめく外壁。建物全体が海を想起させる。

海を想起させる外観

チケットを購入して入場すると、いきなり光のショーが始まった。巧みに取り込まれた外光は、水面にきらめく太陽の光のようだ。

エントランスホール
階段を上りきったところ

階段で2階に上がってキノコのような形の暖炉と豪華絢爛なシャンデリアを見ると、その先にあるのがメインサロン(主客間)だ。

キノコのような形の暖炉
豪華絢爛なシャンデリア
メインサロン

バルセロナ随一の目抜き通りであるグラシア通りに面した窓は、青や紫の円形ガラスで彩られている。

グラシア通りに面した窓

見上げると、渦を巻くような曲線の天井。その中心にシャンデリアがあり、海底の宝石のように光っている。

渦を巻くような曲線の天井
海底の宝石のように光るシャンデリア

さらに階段を上ると、吹き抜けのスペースに出た。壁一面が青いタイルで埋め尽くされている。やはりここは海だ。

吹き抜け
青いタイルの壁

ガラスの天井から光が差し込み、波打つガラス越しに見ると、世界が歪んで見える。まるで海底から海面を見上げているようだ。

波打つガラス越しの眺め
海底から海面を見上げている気分になる

真っ白な通路を抜けて、真っ白な階段を上る。世界は急に色彩を失ったようだ。

屋上に出て目に飛び込んできたのが、絵本から飛び出してきたような煙突と、鱗のような装飾に覆われた屋根だ。近づいてみると、まるでドラゴンの背中。キリスト教文化ではドラゴンは悪の象徴と記憶しているが、それを屋根に配したガウディの真意はいかに。

屋上
絵本から飛び出してきたような煙突
鱗に覆われた屋根

昨日カサ・ミラの屋上で感じたガウディのコスモ(小宇宙)は、ここにもなかった。

再び白の世界を抜け、階段を下りて地上へ。

白の世界
控え目な採光

この階段の吹き抜けを彩る金属のカーテンは、隈研吾がデザインしたそうだ。夜空の星のまたたきのように光が反射するインスタレーションは、ガウディへの敬意の表れか。

隈研吾がデザインしたインスタレーション
どこでも木材を貼り付けるわけではないのだな

ガウディがデザインした「カサ・カルベ」へ。中に入ることはできないので、外観を見るだけ。美しい建物だが、ガウディデザインと知らなければ、通り過ぎてしまいそうだ。

カサ・カルベ
カタルーニャ・バロック様式に着想を得た建物

20:00 百貨店「エル・コルテ・イングレス(El Corte Inglés)」
一日中歩いて疲れたので、ホテル近くの百貨店のフードホールで夕食を取ることに。ここはバルセロナに着いた日に下見してあるので、要領は分かっている。各ブースで希望の料理を受け取り、レジでまとめて精算する形式だ。

最上階のフードホール入口
欲しいパエリアを取り分けてもらう
色々な種類があるオムレツ
フードホールの様子

扱っている料理はスペイン料理中心。今日はサラダ、コロッケ、スペイン風オムレツ、海鮮パエリアを買い求めた(冷えた料理は電子レンジで温めることができる)。レストランに行くとどうしても気を張ってしまうので、本格的で美味しい料理を気軽に楽しめるのはありがたい。

赤ワインも買った
コロッケ
パンが付いてきたスペイン風オムレツ
(こんなに食べられないよ)
海鮮パエリア

このフードホールは眺望もよく、眼下にはカタルーニャ広場、遠くにはサグラダ・ファミリアが見える。バルセロナの隠れた名店と言えるだろう。

カタルーニャ広場
遠くにサグラダ・ファミリアが見える

21:30 旧市街
夕食を取って元気になったので、腹ごなしに旧市街を散歩。中心にあるカテドラルの周辺を歩く。雰囲気のある街並みで、なかなかホテルに戻る気にならない。

カテドラル
旧市街
路上ミュージシャン
王の広場

23:00 就寝 
シャワーを浴び、昨日、今日と巡った、サグラダ・ファミリア、カサ・ミラ、カサ・ビセンス、カサ・バトリョの印象を反芻する。

サグラダ・ファミリア
カサ・ミラ
カサ・ビセンス
カサ・バトリョ

ガウディはエンターテナー、特に「光と影の魔術師」ではないかと思う。刻々と移ろう光が織りなすショーに魅せられ、いつまでもその場を動けなかったからだ。

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