8:00起床
食べたことのないメニューにトライしてみようと、「ベジタリアン・スタック(Vegetarian Stack)」を注文。生来肉食な上に、どんな料理なのか、まるでイメージが湧かなかったので、これまで注文してこなかったのだ。果たして、どんなストイックな野菜料理が出てくるか?
「ベジタリアン・スタック」の正体は、トウモロコシのロスティ(本来、ロスティは千切りにしたじゃがいもを焼いたもの)、グリルしたハルーミ(羊乳と山羊乳から作られるセミハードタイプのチーズ)と粗く潰したアボガド、目玉焼き、それらを重ね合わせたものであった。周囲にあるソースがトマト・サルサだろう。なんだ、これはどう見てもご馳走ではないか。


切り分けて口に運ぶと、ジャガイモの千切りと一緒に焼いたトウモロコシの甘み、ハルーミのもっちりした食感とほどよい塩気、アボガドの濃厚な旨み、卵黄のコクと白味のカリカリとした食感が渾然一杯となって口内に広がる。なんだ、これまでここで食べた中で一番美味しいではないか。僕は日々のルーティンを好む保守的な人間だが、何事もチャレンジするのは大事だなぁ。
今日はヴァン・モリソンのライブを観るためにバースに移動。ライブは今夜と明晩の2回あるので、2泊3日の小旅行だ。
バースについて
バースは2世紀頃にローマ帝国の支配下で温泉の街として発展し、風呂を意味するゲルマン古語から「バース(Bath)」と名付けられた(ここ数年、頻繁にイギリスを訪問するようになるまで、紀元43年から410年の間、イングランドとウェールズが「ブリタンニア」というローマ帝国の属州だったことは、寡聞にして知らなかった。我ながら不勉強)。
また、バースはイギリス屈指の観光地として知られ、ロンドンに次いで観光客が多い。
2024年8月に「1日で、ストーンヘンジとバース、2か所の世界遺産を巡るツアー」に参加してはじめてバースを訪れた(バースは、街全体がユネスコの世界文化遺産に登録されている)。そのツアーは朝7時にロンドンをバスで出発し、ロンドン帰着が18時半という長時間にわたるものだったが、バース散策時間は1時間半と短かったので、今回はじっくりと見て廻りたい。
10:00 散歩
バース往きの電車まで時間があるので、ハイド・パークを散歩。ピンクの花(桜?)は散り、黄色いキンポウゲが咲いており、季節は少しずつ夏に向かっているようだ。


相変わらず、リスはあざと可愛かった。

12:00 パディントン駅発
バースまでは1時間半の電車の旅。


13:24 バース・スパ駅着
駅のホームでジョージ(ロンドン在住のヴァンファン)とばったり出くわす。ホテルのチェックイン時間に合わせて、同じような時間帯の電車を選ぶのは、「推し活」あるあるだ。


ホテルに向かう途中、今夜のコンサート会場があったので下見すると、見慣れたツアートラックが停まっており、その向かいには数人のファンが入り待ちをしていた。


14:00 チェックイン
ラッキーにも定刻の15時前にチェックイン。ロンドンのホテルと比べると、宿泊費は安いのに、部屋はかなり広い。ベッドの上には青いラバーダックが置いてあった(当然、連れて帰った)。


14:20 ローマン・バス
ローマン・バスに着いて写真を撮っていると、不意に女性に抱きつかれた。なんと、それは今年(2026年)2月に北アイルランドのアーマーという小さな町からベルファストへの珍道中を共にした、ダイアナ・セオ夫妻(ベルギー人のヴァンファン)だった。再会に驚き、喜び合う。「ライブ当日に観光名所でファン同士がばったり出くわす」のも推し活あるあるだ。

アーマーからベルファストへの珍道中はこちら↓

上記リンク記事にあるベルファストへの車中で、ヴァン関連商品のコレクターでもあるセオ(旦那)から「ジャケットに日本語が書いてあるCDかレコードがあったら、立替払いで買ってきて欲しい」とのリクエストがあった。その要望に応えて日本盤シングルを用意してきたので、「今夜、コンサート会場でいいものをあげるよ」と言うと、何のことかピンときた様子。「コンサートの前にファンがバーに集まるからお前も来い」と誘われる。
14:30 ローマン・バス
ローマン・バスは、2千年以上も前にローマ人が築き上げた神殿を兼ね備えた公衆浴場で、浴場跡の他に出土品などの展示を見ることができる。


























ローマ帝国から見ると、ブリタンニア属州(現在のイングランドとウェールズ)は最西端の僻地に当たる。地中海の支配に飽き足らず、西の最果てまで勢力を伸ばし、こんなに立派なローマ式浴場を建設、運営していたとは、恐るべし、ローマ帝国。
16:00 エイヴォン川
エイヴォン川に架かるパルトニー橋はバース特有の景色だ。三重の段差を流れる水を、いつまでも眺めてしまう。


ちなみに、映画『レ・ミゼラブル』 のクライマックスでジャベール警部がセーヌ川に身を投じるシーンは、パルトニー橋周辺で撮影された。
16:20 世界遺産ロイヤル・クレッセント
半円の形状と「バース・ストーン」のクリーム色が相まって美しい、1774年竣工の集合住宅。シンメトリーを基本としたデザインが特徴の、ジョージアン様式を用いた建築物の傑作とされる。建物の一部は博物館、ショップやホテルになっているが、現在でも人々が生活している。




18:00 ザ・コーク
セオ指定のパブに来てみると、店内には既にダイアナ・セオ夫妻がいた。

セオに日本から持参したシングル盤「ドミノ」を渡し、「このジャケット、Morrisonの”r”が一個足りないんだよ」と教えると、「こりゃ、最高だ!」と喜んでくれた。レコード代金の代わりにギネスをおごってもらい、3人で乾杯。


その後、夫妻と同じ村に住むバート(初対面)、ベルギーから来たルート(以前、ベルギー王室御用達のノイハウスのチョコをくれた)、バース近郊に住むパットとそのお姉さん(初対面)らファンが集まってくる。仕事は何をしているか、ヴァン以外ではどんな音楽が好きか、そんな話をしているうちにあっという間に1時間が過ぎ、コンサート会場に向かう。
19:00 ザ・フォーラム着
物販コーナーをチェックするが、特に目ぼしいものはなし。


会場内では、ハドリー(アメリカ人)、ジョン(ロンドン在住のイギリス人)、ミゲル(スペイン人)、Fさん(イギリス在住の日系人)、救世主ポール(スイス在住のドイツ人)との再会を喜ぶ。
救世主ポールに助けられた話はこちら↓


19:55 開演
定刻5分前に開演。一曲目の「Into The Mystic」から客席は大盛り上がり。拍手と歓声が大きく、これまで観たヴァンのライブの中で、バースの観客が一番熱いかも。


セットリストには、80年、90年代のオリジナル曲や、昨年(2025年)発売のオリジナルアルバム『Remembering Now』、今年(2026年)1月23日に発売されたブルースアルバム『Somebody Tried to Sell Me a Bridge』からバランスよく曲が配置された。
■2026年4月28日セットリスト
- Into the Mystic
- Snatch It Back and Hold It (Junior Wells’ Chicago Blues Band cover)
- I’m Gonna Play the Honky Tonks (Marie Adams cover)
- Madame Butterfly Blues (Dave Lewis cover)
- Crazy Jane on God
- Precious Time
- Back to Writing Love Songs
- The Only Love I Ever Need Is Yours
- Once in a Lifetime Feelings
- Ain’t Gonna Moan No More
- Laughin’ and Clownin’ / Night Time Is the Right Time
- These Dreams of You
- Down to Joy
- Real Real Gone
- Green Rocky Road (Traditional cover)
- Moondance
- Help Me (Sonny Boy Williamson cover)
- Encore: Gloria
ハイライトは、ライブではじめて聴いた「These Dreams of You」。ヴァンのアルバムの中で一番好きな『Moondance(1970年)』に収録された名曲で、今夜は同アルバムから3曲を聴くことができた(上記セットリストの太字「Into The Music」「These Dreams of You」「Moondance」)。
ちなみに、『Moondance』は、先日米国Acoustic Sounds社によって、45回転180グラム重量盤2枚組レコードとして復刻された。どれ程「45回転」の恩恵があるのかと、USオリジナル(プロモ)、UKオリジナル、高音質盤として人気が高いDirect-Disk Labs社ハーフスピードマスタリングと聴き比べてみると、この2枚組が優勝という結果に。音圧が高い割に演奏のディテールはよく聴こえるし、オリジナル盤よりベースが効いていても、全体のサウンドバランスを損なっていない。少々高価だが、このアルバムに興味のある方にはお勧めしたい一品。

21:40 終演
終演後、ツアーマネージャーP氏にレコードジャケットを預かってもらい、ヴァンのサインをお願いする。昨今の中東情勢の影響による燃油サーチャージの高騰を知ってか、「航空券にいくら掛かった?」と聞かれ、チケット代金を答えると、「クレイジーだ」と肩をすぼめた。確かに今回の航空券は高かった・・・。
うまくいけば、明日のリハーサル時にヴァンにサインをもらえるはず。


Fさんと明日のランチの約束を取り付けた後、ホールを出ると救世主ポールがいたので、2月に助けてくれたお礼に抹茶味のキットカットとポッキーを渡す(抹茶はヨーロッパで相当ポピュラーになっているので、毎回お土産に持参するようになった)。



ローマン・バスに立ち寄ってみるが、少しライトアップされているだけで、街はもう眠りかけている。観光地バースの夜は、はやい。




22:30 帰宿
少々冷えたので、日本から持参したフリーズドライの雑炊を食べ、湯船に湯を張って身体を温める。



24:00 洗濯して就寝

