ニューアルバム『texte』のリリースにあわせたライブツアー、その神戸公演2日目を観た。
『texte』は、2016年10月に発売されたデビュー作『chouchou』の「映像作品にまつわる楽曲を歌う」というコンセプトを踏襲している。
会場は神戸国際会館こくさいホール。







美しいホールで、観やすく、音の響きもよい。

すでに多くの人がこのコンサートについてレポートしているので、ここでは歌手デビュー以来、上白石萌音さん(以下、上白石)が歌い続けている楽曲を中心に感想を述べたい。
「なんでもないや」: ポップシンガー・上白石萌音
低音が少し豊かになった歌声が、より情感深く響く。ストリングスが加わることによって楽曲のスケール感が特盛りに。
「On My Own」:ミュージカルアクター・上白石萌音
初期にはアカペラで歌われることの多かった「On My Own」はバンド演奏とともに。曲が進むに連れて盛り上っていく伴奏に共鳴するかのように、上白石の歌唱はかつてなく情熱的だ。感情が溢れ出たかのようなロングトーンには鳥肌が立った。
「SMILE」:ジャズシンガー・上白石萌音
当時のメモを見ると、歌手デビューライブ以後しばらくは、ほとんどのライブがジャズのスタンダードナンバーで締めくくられている(筆者が参加したライブのみ。曲名は各ライブのラストナンバー)。
- 2015年10月19日(ファーストライブ@青山月見ル君思フ):Moon River
- 2016年3月1日(セカンドライブ@青山月見ル君思フ):Fly Me to The Moon
- 2016年10月4日(デビューアルバム『chouchou』発売記念フリーライブ@池袋サンシャインシティ噴水広場※):SMILE ※文末に当日の画像あり
- 2016年10月29日(渋谷HMVインストアライブ):SMILE
- 2016年12月27日(サードライブ@青山月見ル君思フ):SMILE
- 2017年2月10日(初ワンマンライブ@渋谷duo):たしかなこと(小田和正カバー)
- 2017年11月18日(『and』ツアー@赤坂BLITZ):SMILE(アカペラ)
こうして見ると、上白石にとって「SMILE」がいかに重要な楽曲かがよく分かる。
今夜の「SMILE」は軽快なリズムにサックスが加わったスウィングアレンジ。2017年11月のしっとりとした端正なアカペラとはまったく表情の異なる、陽気な「SMILE」で、上白石のボーカルもスウィングしている。同じ楽曲でこれだけ多様な歌唱を披露できるとは、引き出しの多さを感じさせる(しかもその引き出しは増え続けているようだ)。
「スウィング」と書いて思い出したが、2015~16年頃、Instagramにコメントすると、時々ご本人がコメントを返してくれた。ファーストライブで「Moon River」、セカンドライブで「Fly Me to The Moon」とジャズのスタンダードナンバーが続いたので、エラ・フィッツジェラルドの超絶スウィングチューン、「It Don’t Mean A Thing (If It Ain’t Got That Swing)」の演奏をおススメしてみたことがある。
今のところこの願いは叶えられていないが、こんな風にクセ強スウィングする彼女をいつか観てみたい。
演じるように歌う
他にも、「アルデバラン」「Woman “Wの悲劇”より」「一縷」「BOTH SIDES NOW」「AUDITION」「変わらないもの」「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」「奇跡のようなこと」といった楽曲では曲ごとに脳内で映像が立ち上がり、短い映画を観ているような気分になった。
まるで短編のオムニバス映画を観ているようなコンサート、今これをできるのは上白石しかいない。
歌手デビュー時のコピー、「演じるように歌う」は「歌手 上白石萌音」の資質と志向を見事に言い表したものだったと、いまさら感心(言い得て妙!)。


終演後は観客がエスカレーターに集中してなかなか1階に降りることができず、会場内でのんびり。


会場を出ると、小雨が降っていた。


※『chouchou』発売記念フリーライブ(2016年10月4日 池袋サンシャインシティ噴水広場)




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