Day 11【Granada: Albaicín & Cueva de Los Amaya Tablao Flamenco】(2026/5/2)

granada Flamenco

グラナダについて
グラナダはスペイン南部、アンダルシア州グラナダ県の県都である。地政学的にはヨーロッパ大陸のほぼ最南端に位置し、ジブラルタル海峡を渡れば、そこは北アフリカ・モロッコだ。

モロッコは目と鼻の先

グラナダの歴史は、イスラム勢力とキリスト教の摩擦と交錯の歴史である。8世紀初頭から15世紀にかけてイスラム勢力がイベリア半島の大部分を支配した。1230年頃には「ナスル朝グラナダ王国」を建国。その後、キリスト教勢力による国土回復運動「レコンキスタ」が進むと、イスラム勢力は徐々にイベリア半島南部へと押し戻され、1492年にグラナダ王国がカトリック両王(イサベル1世とフェルナンド2世)に降伏してナスル朝が滅亡し、イスラム勢力によるイベリア半島支配は終焉を迎えた。
つまり、約800年におよぶイスラム文化の影響とその後のキリスト教文化が共存する街、それがグラナダだ。

イスラムとキリスト教が交差するグラナダの街並み

グラナダはフラメンコの本場でもある。特に、サクロモンテ地区の「クエバ(洞窟)」では伝統的なフラメンコを観ることができる。

洞窟のフラメンコ

今日はアルバイシン地区を中心に散策し、カテドラルを訪れ、夜はサクロモンテ地区の洞窟でフラメンコを観る。

僕は観光の初日に一番の名所を訪問する。悪天候で満喫できなかったり、気に入ってもう一度訪問したくなった場合でも、滞在中に再訪できる可能性を高めるためだ。その原則に従えば、アルハンブラ宮殿は初日(今日)に訪れるべきところだが、チケットが取れなかった。チケットを手配したのは2026年1月27日のことだが(訪問の3ヶ月前)、その時点で5月2日(土)のチケットが売り切れていたので、仕方なく翌3日(日)のチケットを取った。同日グラナダの宿を予約したら、すぐにホテルから「早急に宮殿のチケットを確保して」と連絡があった。それ程人気な観光スポットだったのだ。

グラナダを訪問するなら、まず最初に宮殿のチケット入手可能な日程を確認することをお勧めする。旅のプランニングは、1)宮殿のチケット入手 → 旅程の確定、2)航空券/電車のチケットとホテル予約、という手順にした方がいいと思う。せっかくグラナダまで行ったのに、アルハンブラ宮殿を見ないのは「サビのない歌」のようなものだから(「クリープを入れないコーヒー」でも可)。

7:30 起床
曇りの予報なので、朝食前にホテル周辺を散策して天候を確認。昨夜雨が降ったらしく、路面が濡れていた。気温14℃と過ごしやすいが、空は雲に覆われている。スペインといえば突き抜けるような青空を期待していただけに、これは困った。

うーん、雲が厚い
美しい町並み

8:00 朝食
以前マドリードやバルセロナで宿泊したホテルと比べるとやや質素に見える朝食だが、必要にして十分。

必要にして十分な朝食

パンをナイフで二つに切って生ハムとチーズをはさんで食べると、シンプルに美味しい。

9:20  ホテル出発
宵っ張りの国らしく、街を歩く人はまだ少ない。

まだ人影はまばら
石畳の街

ホテル付近のカトリック両王(イサベル女王とフェルナンド2世)の霊廟がある「王室礼拝所」とカテドラル(大聖堂)の外観を見る。

右側が王室礼拝所
カテドラルのドーム

礼拝堂の前の道路にはカトリック両王の「聖ヨハネの鷲と紋章盾」とザクロのモザイク。これは川の小石を組み合わせた、グラナダの伝統的な石畳のモザイク舗装だという。「グラナダ(Granada)」はスペイン語でザクロを意味する言葉でもあることから、ザクロが市のシンボルとなったそうだ。ホテルを出て数分のところでこの路上のアート、グラナダ芸術度高し!

「聖ヨハネの鷲と紋章盾」のモザイク
ザクロのモザイク

坂道を上り、サン・ニコラス展望台に向かう。

ここにもザクロ
坂を上る

アルバイシンはイスラム教徒によって築かれたグラナダ最古の街並みが残る地区。城郭都市として造られたため、道が入り組んで迷路のようだ。

迷路のような道

白壁とイスラム式の建物。はやくも異世界に入り込んでしまった。

白壁とオレンジの木
伝統的なイスラム建築の邸宅
イスラム式のドア

9:45 サン・ニコラス展望台

サン・ニコラス展望台
人影はまばら

サン・ニコラス展望台に立つと、眼前にはアルハンブラ宮殿、その背後には雪を戴くシエラ・ネバダ山脈が広がる。壮観の一言。

展望台からの眺め
アルハンブラ宮殿(明日行く)
宮殿越しに見えるシエラ・ネバダ山脈
グラナダの街並み
人懐こいイエスズメのヒナ

15分程眺望を楽しんでいると、ツアーバスから続々と観光客が降りてきて、広場は混雑し始める。サン・ニコラス展望台は、観光客が押し寄せる前の早朝に行くのがオススメ。

10時頃から混みだした

アルバイシン地区で最も高い場所に位置するサン・ミゲル・アルト教会を目指して歩き出すと、太陽が出てきた。そうこなくっちゃ。

花を飾る家が多い
陽が差していい感じ

多くの家の壁に「グラナダ焼」の絵皿が飾られている。

「グラナダ焼」の絵皿
絵皿が飾られた庭

ふと見上げると、伝統を守る街並みと商業主義の象徴「コーラ」の看板が見事に融和していた。グローバルブランドマネジメントの観点から言えば、このようなブランドロゴとパネルの大胆な現地化には課題がある気もするが、街に美しく溶け込んだ「広告宣伝」、最高じゃないか。

伝統的な街並みに溶け込む看板
これも「グラナダ焼」かな?

石畳の坂道をひたすら登る。

ひたすら上る
振り返るとこんな景色

11:00 サン・ミゲル・アルト教会

サン・ミゲル・アルト教会
眺望を求めて観光客が集まる

アルハンブラ宮殿とアルバイシン地区を見渡せる。

グラナダ全景
左にアルハンブラ宮殿、右にアルバイシン地区
アルハンブラ宮殿全景
宮殿アップ①
宮殿アップ②
アルバイシンの白い街並み
サン・ルイス教会

手前に教会、その奥にアルハンブラ宮殿を望む。キリスト教とイスラムが交差した、グラナダならではの景色だ。

右手前に教会(キリスト教)、その奥に宮殿(イスラム)
グラナダならではの景色

来た道を戻る。

ひたすら下りる
道端のヒルガオ
だいぶ下りてきた
丘の上にさっきの教会が見える

11:30 一休み
サン・ニコラス展望台まで戻り、レストランで一服。

立ち寄ったレストラン

幸い、宮殿がよく見える一番奥の席が空いていた。スペイン産サンミゲルで休憩。それにしてもスペインのオリーブは本当に美味しい。

宮殿がよく見える
オリーブ最高!

30分ほど休んで店を出る頃には満席に。グラナダを観光するなら、「早起きは三文の得」だ。15分、30分が大きな違いを生む。

満席の12時
展望台では観光客目当ての流しが演奏中


さらに坂を下り、アルバイシン地区の中心部に戻る。

折り畳みの棚
シエラ・ネバダ山脈の雪解け水
露店や土産物屋
トルコ・イスタンブールの伝統菓子店
グラナダ土産
宮殿はちょっと欲しい

12:30 昼食
カルデレリア・ヌエバ通り付近のバルで軽い昼食。

バル「ラ・リビエラ」
店内の様子

飲み物を一杯注文すると、タパス(つまみ)が無料で一皿付いてくる仕組み。ビールとミートボール、追加でミニ生ハムチーズサンドと「ハチミツで刺激したナス」を注文。素朴な味わいで軽食にぴったりだ。

メニューはスペイン語オンリー
素朴な味わい

昼食後、マドリード在住のパブロお勧めのレコード屋を廻るが、あいにく収穫なし。ちなみにスペインのレコード屋は14時から16時頃までシエスタ休みで一時閉店するので、要注意。

「Marcapasos」
新品だけだった
ミュージシャンがインストアライブ中の「Discos Bora-Bora」
時間があればゆっくり見たい店
休みだったレコード屋

十字架の日について
「十字架の日(Día de la Cruz)」は、毎年5月3日に開催されるアンダルシア地方(グラナダやコルドバなど)の伝統的なお祭り。街には色鮮やかな十字架が飾られ、女性は華やかなフラメンコドレスを身にまとって髪に花を飾り、音楽と踊りで春の訪れを祝う。

十字架が飾られ、おめかしした女性たちが意気揚々と歩いている。

装飾された十字架
「十字架の日」の人出
着飾った女性たち

14:45 アルハンブラ宮殿行きバス停
明朝の宮殿訪問に備え、ホテル付近のバス停を事前確認。これ大事。

宮殿行きバス停
ここで合っているようだ

15:00 カテドラル(大聖堂)
ルネサンス建築の傑作といわれるカテドラルへ。円柱とアーチに支えられた高い天井と、白壁と金の装飾のコントラストが印象的(内部は写真撮影禁止)。

カテドラル正門
カテドラルを裏側から見る

15:30 アルカイセリア
アラブの雰囲気を残す商店街「アルカイセリア」。シルク製品や工芸品、土産物屋がある。

「アルカイセリア」入口
土産物屋の軒先

健気に子供が働いているのを見て、同じような歳の頃に家業を手伝ったことを思い出した。

家業を手伝う少年

16:30 ホテルで休憩
ロストしたバゲージはまだ届いていない・・・。

17:45 夕食
1917年創業の老舗レストラン「ロス・マヌエルス(Los Manueles)で夕食。外の空気が気持ちいいので、レストランに面したビブランブラ広場(Plaza Bib-Rambla)のテーブル席に座る。

老舗レストラン「ロス・マヌエルス」
広場の一角にあるテント

スペイン風コロッケ「クロケッタ(Croqueta)」(スペインに来てコロッケがすっかり好きになってしまった)と、このレストランの定番肉料理「豚のひじ肉のロースト」を注文。コロッケはサクッとした衣とクリーミーなベシャメルソースの組み合わせが美味。具にしっかりと塩気と旨味があるので、ソースは不要だ。

クロケッタ
衣はサクサク、中身は濃厚

豚肉はナイフがスッと入る柔らかさで、こってりとして脂っぽい皮はジューシー。

豚のひじ肉のローストは甘めの味付け
快適なテント内

食事をしていると、伝統衣装で着飾った女性たちが横切っていく。なんだか、みんな楽しそう。

19:00 大道芸
夕食後、広場で大道芸を楽しむ人々を見る。芸人の一挙手一投足に集中して、大人も子供もスマホなんて見ていない。

誰もスマホを見ていない
集中力がすごい

気がつくと、このどこか懐かしい光景を10分も見ていた。しまった、早くフラメンコの会場(タブラオ)に向かわなくては。

Googleマップの指示に従ってダーロ川沿いを歩くと、すれ違えない程の人出。マップの表示よりも時間がかかって焦る。

想定外のすれ違えない程の人混み
ダーロ川にかかる橋

19:45 クエバ・デ・ロス・アマヤ(Cueva de los Amayas)
開演15分前に到着すると、すでに長い列ができていた。

「クエバ・デ・ロス・アマヤ」入口

サクロモンテ地区のフラメンコについて
サクロモンテ地区にある洞窟は、迫害を逃れた「ロマ(ヒターノ)」が15世紀以降に定住した場所(「ジプシー」という呼称には差別的なニュアンスが含まれるため、「ロマ」への言い換えが進んでいる)。洞窟で受け継がれてきた独特な歌や踊りは、グラナダ独自のフラメンコ「サンブラ」へとつながっていった。

すでにステージ正面の席は埋まっていたので、店の一番奥の席に座ってビールを頼む(チケット代に1ドリンク含まれる)。

一番奥の席に座る
アルハンブラビール

20:00 開演

開演
定員はわずか60名

踊り子の「バシッ、バシッ」と足を踏み鳴らす鋭い音が洞窟の白壁に反響し、至近距離で観る踊りは凄い臨場感だ。スパニッシュギターの音色は柔らかいが、歌声はシリアスで、踊り子は一度も笑みを見せない。

マドリードとバルセロナで観たフラメンコは、日々の「喜怒哀楽」を表現していると感じたが、ここのフラメンコからは、もっと切実な「哀」と「怒」のようなものを強く受け取った。

張り詰めた踊り

マドリードやバルセロナといった大都会の洗練されたショーとは違って、サクラモンテの洞窟は緊張感に満ちており、その空気は張り詰めていた。僕には、かつて疎外されたロマたちの哀しみや怒りまでが、洞窟のフラメンコに残っているように感じられた。

21:00 終演 

終演後の店内
店内に飾られたロマの写真

かつてロマの住居であった洞窟を出ると、眼前にはイスラム王朝の宮殿、アルハンブラ。グラナダは街の至るところで、多様な文化の交差と共存を肌で感じることができる。

ロマの洞窟を出ると、
イスラム王朝

ライトアップされた宮殿を見ながら、ダーロ川沿いに来た道を戻る。

先ほどの人混みはすっかり解消し、広場では音楽に合わせて女の子たちが踊っていた。

人通りの絶えた広場
踊る女の子

子供たちは「だるまさんがころんだ」で遊んでいる。なんとものどかな光景だ。ちなみに「だるまさんがころんだ」は、スペインを含むヨーロッパ諸国やアメリカなどに似たような遊びがあるそうだ。

スペイン式「だるまさんがころんだ」

22:20 カルメン広場
ホテルには戻らず、昨夜メアリーが教えてくれた「十字架の日」のお祭り会場に行ってみる。広場にはザクロ(Granada)が描かれた青いアーチと赤い十字架が飾られていた。

カルメン広場
ザクロと十字架

舞台では、女性たちが情熱的な音楽に合わせて優雅に踊っている。正直なところ、踊りはあまり揃っていないが、彼女たちの顔は誇りに満ちている。

こういう地方の街で出会う人々の素朴さはいい。今日一日でスペインのことをもっと好きになってしまった。

10時半過ぎに終演

23:10 帰宿 
結局、ロストしたバゲージは届かなかった。明後日にはバルセロナに移動するので、「明日中に届かないと面倒なことになるな」と思いながらビールを飲んで洗濯。

24:30 就寝
明日はいよいよアルハンブラ宮殿だ。

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