今日はヴァン・モリソンのライブを観るために、ダブリンから140km離れた北アイルランドのアーマー(Armagh)という町に移動。
9:00 起床
昨夜冷たい雨に打たれて少し鼻風邪っぽいので、朝食をたくさん食べて栄養補給。リンゴも食べる。

10:20 チェックアウト
フィル・ライノットの壁画を見ながら、徒歩でブサラス・バスステーションへ。


11:30 ブサラス・バスステーション到着
構内の電光掲示板を見ると、アーマー行きの「ルートX4」が見当たらない。


焦ってスタッフに尋ねると、「アーマー行きのバスはあそこから発車するわよ」と建物の外を指さす。

12:00 アーマーに向け出発
13:45 アーマー市に入る
今回の旅程で最大の不安要素は、明日の「アーマー → ベルファスト → ロンドン」の移動だ。ベルファスト・ロンドン間の飛行機は、15時10分発の便を取ったが、「アーマー → ベルファスト」の長距離バスは16時発の一便しかないので、Uber(車)での移動を想定していた。
アーマー市に入ったのでUber アプリを起動してみると、表示されるのはレンタカー予約のみ。電車とバスは「ルートが見つからない」と表示される。なんと、アーマーはUberのサービスエリア圏外だった。うーん、困った。



13:55 アーマー到着
小雨の中を今夜の宿泊先のB&Bへ向かう。スタッフは常駐せず、チェックイン時間の15時に鍵を渡しにくる段取りで、まだ建物の中には入れない。15時まではあと30分以上あるが、荷物が多いので建物の入口で待つことに。

再度Uberアプリを立ち上げてもさっきと同じ結果。タクシーを予約するのは電話になりそうだが、僕の英語力では北アイルランドの人と、しかも電話越しにやりとりしてちゃんと予約ができるとは思えず、B&Bのスタッフに事情を説明して、代理で予約してもらうのが最善だと考えた。
15:00 救世主ポール
15時を過ぎてもスタッフは現れず、代わりにポール(スイス在住のドイツ人)がこちらに向かって歩いてきた。挨拶すると、なんと奇遇にも同じB&Bに泊まるという奇跡!ポールはヴァンのライブ会場で必ず見かける男で、過去に一度、スタンディングライブの待機列で一緒に並んで話したことがあったが、それ以降は会場で挨拶を交わす程度の仲だった。彼の顔を見て、思わず「助けて」と話しかけた。「どうしたの?」とポール。Uber が利用できないこと、明日(日曜日)はベルファスト行きのバスがないことを説明すると、「僕らは何もない不便なところにいるんだ(We’re in the middle of nowhere.)。だから、僕も色々と研究してきたよ」とポール。ベルファストからアーマーに到着したばかりの彼は、「いま僕が来たルートを逆に行けばいいよ」と言う。そのルートとは、①ローカルバスに30分乗ってポータダウン(Portadown)という駅に向かい、②ポータダウン駅から電車でベルファストに向かうというもの。

「ローカルバスに乗るのはハードルが高いので、タクシーを予約しようと思ってるんだ」と自説を告げると、「タクシーは高いよ(アーマーからベルファストへは70km、たしかにタクシーだと16,000円くらいかかる)。明日、僕はアーマーからダブリンに向うけど、駅までは一緒にバスで行けるよ」とのこと。ただし、日曜日はポータダウン行きのローカルバスは朝10時発の1本しかないので(北アイルランドの人々は、安息日にはきちんと休むようだ)、そのバスを逃すとアウト。一方、電車にさえ乗ってしまえば、それが1番確かなルートだ。
親切なことに、ポールはB&Bにチェックインしたら、パソコンで今話した旅程を書き起こして送ってくれるという。神か。実は、Uber が使えなかった時のために、事前にポールのルート案はチェックしていたのだが、なるべくバスは避けたかったので、具体的なスケジュールまでは組んでいなかったのだ。でも、ポールと一緒なら心強いので、彼に着いていくことにした。
15:20 チェックイン
チェックイン時間を20分程過ぎてようやくスタッフが到着し、鍵を受け取って部屋に入る。


荷解きして、ビールと水を買いに出かける。



スーパーで買い物を終え、宿に戻ろうとするとポールからメッセージ。そこには明日の詳細なスケジューが記され、17時から隣のホテルに泊まっているヴァンのファン(ベルギー人)との食事の誘いがあった。控え目に言って、ポールは救世主だ。
B&Bに戻り、彼が書き起こしてくれた旅程を確認。
- 10時00分: B&Bから徒歩5分のバス停でローカルバスに乗車
- 10時25分: ポータダウン駅最寄りのバス停で下車
- 10時40分: ポータダウン駅出発(電車)
- 11時27分: ベルファスト・グランド・セントラル駅到着

フライトは15時10分だから、十分時間に余裕がある。素晴らしい。せっかくなので食事に参加させてもらうことにした。
17:00 ディナー
隣のホテルのバーで落ち合ったのはベルギー人のダイアナ・セオ夫妻(一昨日、ベルファストのライブ会場で会った)。2人ともFacebook の友達で、何度もライブ会場で挨拶を交わしていたが、じっくり話すのはこれがはじめて。

彼らは40年以上ヴァンのライブを見続けており、数年前に亡くなったマネージャーとも交流があったそうで、ヴァン本人との様々なエピソードを披露してくれた。中でも、ヴァンがデビュー前にサックス奏者として参加した、Georgie And The Monarchsの超レアシングル盤「Boo-Zooh / O Twingy Baby」にサインをお願いしたら、後日マネージャー経由で「譲ってくれ」と頼まれたエピソードは傑作だ。そのシングル盤がリリースされたのは、1963年。18歳のヴァンにとって初めてのレコーディングだった。

ポールと僕はタイ式チキングリーンカレー、夫妻は牛肉料理を注文。さて、どんなカレーが出てくるかと思っていると、ちゃんとしたオーセンティックなタイ式のグリーンカレーだった。久々のお米は美味しかった。

19:00 会場到着
マーケット・プレイスシアターはキャパシティ400人の小さな会場。ステージが高く、最前列はかなり見上げなければならない。僕は下手側のバルコニー席でちょうど舞台と同じ高さなので、とても観やすい。

20:00 ライブ開始
今夜も「Into The Mystic」で幕開け。

御大は何度も咳き込んで本調子ではない様子。ドラマーが替わったばかりだからか、バンドにもミスがあった。ヴァン自作のブルース曲「Ain’t Gonna No Moan More」ではアウトロの長い唸りのアドリブがカットされてショートバージョンに。
そんな中でも、久々に「Precious Time」や「Day Like This」「Green Rocky Road」「Foreign Window」といった名曲をライブで聴けたのはよかった。
残念ながら、今夜は最後まで導火線に火が着かなかった感じで、ベルファストでの2公演と比較すると、ベルファスト公演の素晴らしさが際立つライブだった。


21:40 閉演
会場を出るとポールがいたので声をかけると、バス停の場所を確認しに行くという(こういう人は信頼できる)。「みんなと飲みに行ってもいいよ」と言われたが、旅先での下見の大切さは痛感しているので同行する。小雨降る中を5分程歩くと、幹線道路沿いにバス停はあった。時刻表の日曜日の欄に、僕らが乗る「10:00 551A」の表示があって一安心。なんとなく、ポールとの間に仲間意識のようなものが芽生え始める。


バス停の対面にケンタッキー・フライドチキンがあり、その駐車場と歩道上に多くの若者がたむろしている。土曜の夜に何をしているのかと思ったら、爆音でエンジンを鳴らしながら暴走する車を見物していた。ポールと会話ができないくらい騒々しい。「何もない不便なところ(in the middle of nowhere)」の土曜の夜はどこも同じだ。若者はあり余ったエネルギーを暴走して発散するしかないのだ。
明朝は余裕をもって9時35分にB&Bを出発することに(5分刻みとはさすがドイツ人)。B&Bの入り口にタクシー会社のカードがあったので、「バスのバックアップだよ」と財布に入れると、ポールが「いいね」と親指を立てる。もうすっかりバディ気分だ。
22:00 謎の紐問題
昼間は気づかなかったが、バスルームの照明のスイッチが見当たらない。その部屋には天井から2本の紐がぶら下がっている。これが照明のスイッチかもしれないし、警報器のスイッチかもしれない。でも、なんで2本もあるんだろう?ドアを開けっぱなしにすれば、リビングの明かりが少し差し込んでなんとかなりそうだから、一旦電気のことは忘れる。


でも、日本から持参した「あっさりおいしいカップヌードル 旨辛シーフード」を食べているうちに、「いや、やっぱりあの紐は電気のスイッチだろう。警報器のスイッチだったら、さすがに注意書きがあるはずだ。目の前に照明があるのに、薄暗い部屋でシャワーを浴びることはないではないか」と考え直す。

食べたら冷静になった
問題は2本ある紐のどちらが照明のスイッチかということだ。恐る恐る左の短い紐を引いてみると、果たして照明が付いた!明るい!文明すごい!

次にシャワー。水流を調節するスイッチを回しても、水温を調節するスイッチを回しても水もお湯も出てこない。パネルをよく見ると、電源が入っていると点灯しそうな赤いパーツがあった。きっとこのシャワー装置にもスイッチがあるのだ。でも、装置全体を触ってみてもスイッチらしきものはない。もう一本の紐を引いて警報器が鳴ると困るので、今夜はシャワーを諦める。試練が続く。


でも、明日の飛行機のチェックインと電車のチケットを予約しているうちに、「いやいや、目の前にシャワーがあるのに、浴びない手はないではないか。雨に濡れて冷えたカラダを熱いシャワーで温めたい」と思い直す。「警報が鳴るなら、鳴ってみろ」と思いながら長い紐を勢いよく引っ張ると、シャワーに赤い光が灯った!


スイッチを捻るとお湯が出た!お陰でカラダを温めることができた。文明バンザイ!!
今日の教訓「紐があったら、引いてみろ」
27:00 就寝
明日の旅程を再確認して就寝。ポール、ありがとう。
Day 7)明日はローカルバスと電車を乗り継ぎ、アーマーからベルファストへ。1日1本しかないバスが遅れ、果たしてベルファストに辿り着くことができるのか?の記事はこちら



