10時前に朝食を取り、今夜のライブ会場であるマハライド城方面へ散歩。城までは6km、徒歩一時間強の道のり。今は晴れて気持ちがいいけど、歩くか、ウーバーで行くか悩む。



14時過ぎ、体力温存のためにウーバーで行くことにした。会場に着くと曇りで、風が強い。ユニクロのブロックテックパーカを持参してよかった(バーゲンで安かった)。開場時間の17時まであと二時間半。待機列はまだ短い。今年2月にベルファストでコンサート開場まで一緒に並んだ、ダブリン在住のおじいちゃん、ボブが声をかけてくれる。16時過ぎに雨が降り始める。気温18℃、体感気温14℃。寒い。
17時開場。ここで問題発生。二つある入場ゲートのうち一つだけが開き、観客が雪崩れ込んだ。僕が並んでいたゲートは開かないので、周囲の観客からスタッフに対して「不公平だぞっ、開けろっ!」と強い声が投げられる(並ぶ時にスタッフから「両方のゲートに並んでよい」と言われていたので、この怒りは理解できる)。数分遅れで入場できたが、最前列の中央部には、もう空きがない。最前列の端か、二列目の中央かで迷っていると、さっき挨拶したボブが「こっちへ来い」と手招きしてくれて、最前列の少し左寄りの場所を確保できた。持つべきものは知り合いである。



まず、ヴァン・モリソン。曇りと小雨を繰り返し、肌寒い。「Into The Mystic」で幕開けし、「Bright Side of The Road」「Precious Time」「Days Like This」といった馴染みの曲では大きな歓声が起きた。本編最後の「Summertime in England」では、ヴァンとサックスのリッチー・バックリーの長いコール・アンド・レスポンスに会場が盛り上がる。続く「Gloria」で終演。


時折雨が強くなる中、はじめて観るニール・ヤング・アンド・クローム・ハーツ。一曲目から、とにかく爆音。軽量で取り回しのよいストラトキャスターに持ち変えるベテランミュージシャンが多い中、ニールは重たいレスポールを弾き続けている。この姿勢が素晴らしい。レスポールにはビグスビーを付けているので、サステインが弱まって、ジャキジャキした独特な音色だ。目の前にスピーカーがあったのも大きいが、カラダがビリビリと震えるほどの爆音だった。間違いなく、これまでに観た中で一番ラウドなライブだ。最近の曲に「Harvest Moon」「Hey Hey, My My」「Like a Hurricane」といった僕でも知っている有名曲を挟みながら、アンコールは「Rockin’ in The Free World」で締めくくった。





「ロックの初期衝動」とよく言うが、ニール程この言葉が相応しいロック・ミュージシャンはいない。あのブン殴られたような爆音は、ロックの初期衝動としか言いようがない。彼はずっとその衝動に突き動かされて、前傾姿勢でレスポールをかき鳴らし続けているのだろう。
終演後はバスに乗る手もあるが、乗車できるまでに途方もない時間がかかるので、当初から歩いて帰ると決めていた。知らない夜道だが、街灯はあるし、警官がバイクで会場周辺をパトロールしているので安心だ。ダブリン中心部に戻るバスや車の渋滞を横目に、一時間かけてホテルに戻った。冷えきった身体を、雑炊とそれ程熱くならないシャワーで温めて、2時半就寝。



この旅、七日目の記事はこちら