【Oasis Tokyo Night 2】10/26/2025

Oasis

【「oasis Live ‘25」 19公演目】


オアシスについて
若い頃から1960~70年代の音楽を中心に聴いてきて、イギリスではビートルズ、フー、キンクスといったビートバンドが好きだった(ちなみにこのブログ・タイトル「BE HERE NOW」はオアシスのアルバムタイトルではなく、ジョージ・ハリソンの曲名にちなんでおり、ロゴはビートルズの「REVOLVER」のジャケットで使われたオズワルド・ボルドというフォントにした)。それ以外にもアメリカのポップスやロックンロール、ソウル、R&B、ブルース、ファンク、ジャズなど、様々な音楽を聴くので精一杯で、90年代の「ブリットポップ」は全く聴いてこなかった。僕が熱心に音楽を聴きだした1980年代の半ばには、既に素晴らしいポップミュージックの膨大なバック・カタログが存在していたので、敢えて新しい音楽を試す必要はなかったのだ。

オアシスを初めて意識したのは2006年の事だから、完全に後追いでファンになった。きっかけは、ノエルが「Stops The Clocks」のプロモ-ションで来日した際、「僕らの音楽」というTV番組でビートルズの「Strawberry Fields Forever」をカバーしていたのをたまたま見たことだった。シンプルで情感豊かな演奏で、何百回と聴いたはずのジョン・レノンが書いたメロディと歌詞が新鮮に聴こえて、とてもよかった。「なるほど、ノエル・ギャラガー(オアシス)はブリティッシュビートバンドの正当なフォロワーなんだ」と認識し、オアシスのオリジナル曲を聴いてみたら、これがまたよかった。歌詞には平易な言葉を使い、メロディは親しみやすかった。オリジナルアルバムとシングルを聴いて、それでも飽き足らずに新宿西口で海賊版CDやDVDを買い漁り、擬似的なライブを楽しんだ。ギターのタブ譜を買って弾き語りもした。

オアシスのライブをようやく観られたのは、2009年3月の来日公演。最新アルバム「ディグ・アウト・ユア・ソウル」のハードサイケな感じが好きだったので(今でもいいアルバムだと思う)、幕張メッセの3公演を観た。その直後の8月、突然オアシスは解散してしまった。「これからは来日公演の度にオアシスのライブは観るぞ」と思っていた矢先だっただけに、「もっと早くオアシスを見つけて、ライブを観ておけばよかった」と後悔した。当時のオアシスは僕が思っていた以上に危うく、儚いものだった。

そんな経緯もあり、僕はその後悔を挽回しようとして「oasis Live ‘25」の公演を19回も観たのかもしれない。

自分語りはこの辺で終わりにして、話を東京ドーム2日目のライブに移そう。

オアシス東京ドーム2日
開場の30分後、15時半に東京ドームに着くと待ち時間なしに入場できて少し拍子抜け。今日も「新春福袋」チケットで、昨夜より1ブロック分ステージに近い席だ。やはり、アリーナは照明が暗い。

“Live Forever”コラボ
今日も暗いアリーナ
今日はここから

おとぼけビ〜バ〜
サポートアクトの「おとぼけビ〜バ〜」はまったく予備知識なしで臨んだが、超絶テクのハードコアパンクバンドで、まったくとぼけていなかった!演奏もMCもカッコよかった。
「おとぼけビ〜バ〜」の演奏開始直前に着席した、前の席の観客が小柄な女性だったので一安心(視界良好)。

おとぼけビ〜バ〜

オアシス
オアシスは昨夜の好調を維持していた。今夜はアリーナ後方の中でもステージに近い席だったので、四方をオーディエンスに囲まれてライブの臨場感が増した(昨夜はアリーナ最後方だったので、この歓声に包み込まれる感じが希薄だった)。

「これ、オレの兄ちゃん!」感

ポズナン
昨夜は「ポズナン」が起きずに不完全燃焼気味だった「Cigarettes & Alcohol」では、曲が始まる前にリアムが丁寧に「ポズナン」を説明したお陰で、スタンド上段まで見事な「ポズナン」が発生し、ドーム全体が揺れた(Xで「ポズナン」を解説したファンのポストの貢献も大きいだろう)。大成功!

この光景にはリアムも感銘を受けたようで、「日本人は座ってばかりで大人しいって言われたけど、そんなことはないって証明できたな。おめでとう!」とコメントした。この「ポズナン」でオーディエンスの導火線に火がついて、この後は多くの曲で大合唱がドーム全体に拡がった。

リアム一時退場

リアムが来る前からニコニコ・ノエル

ノエルソロパート

リアム再登場

リアムは「Stand By Me」のサビで両手を耳に当て、「聞こえないぞ」というジェスチャーで観客を煽る。

天井がある東京ドームだからこそ、「Cast No Shadow」のギャラガー兄弟のハーモニーの美しさが際立った。

アンコール

「いつもお前らは素晴らしい。ここはとても特別な場所なんだ」
イギリス(カーディフ、マンチェスター、ロンドン、エディンバラ)、アイルランド(ダブリン)と各地で「oasis Live ‘25」を観てきたが、今夜印象に残ったのは前席の小柄な女性の後ろ姿だった。彼女は一人でライブに来ていて、時々感情が溢れ出た時にだけ宙に手を広げた。もともと小柄なので、手を上に精一杯伸ばしても僕の視界を遮らない。だから、いくらでも手を挙げてもらっても構わないんだけど、なぜか手を3~4回振ってはすぐに下ろしてしまう。多分、無意識に後ろの人の迷惑にならないようにしていたんだと思う。日本人らしい控えめな振る舞いだった。

日本人は体格的に欧米人には敵わないので(楽器の大きさが違う)、欧米でのライブと較べれば、ステージ上のメンバーに届く歌声は小さいだろう。それでもリアムは「Champagne Supernova」の演奏を始める前に「ここ(日本)には30年来てるけど、いつもお前らは素晴らしい(『素晴らしい』を意味するスラング、”bollocks”と聞こえた)。ここはとても特別な場所なんだ」と観客に語りかけた。僕の知る限り、このツアーでリアムがこんなことを言ったのは今夜だけだ。

そう、我々日本人の少し控えめな「好き」は、ちゃんと彼らに届いていたのだ。

16年間続いたオアシスの不在と大いなる喪失感は、このツアーで十分に埋められた。なんなら、おつりがくるくらいだ。本当に素晴らしい体験だった。

東京ドーム1日目の記事はこちら

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