朝食後、腹ごなしにタイタニック・クォーターまで往復90分の散歩。

ヴァン・モリソンのディナーショー第二夜。今夜は、友達のディヴィッド(アメリカ人)、ストックホルムからお母さんと来た、孝行息子のディヴィッドと同じテーブル。



メインディッシュが終わり、デザートがサーヴされた後、アメリカ人の方のディヴィッドがサイン入りニューアルバムのレコードを持って帰ってきた。会場の入り口で販売しているという。サイン入りレコードとCDを購入して、その足で自室に置きにいく。会場に戻ると、先程支払いに使ったJALのクレジットカードがない!部屋に行った時に落としたかと思ったが、道中にも、部屋の中にもない。ポケットの中にもない。レジのスタッフに聞いてもない。「困ったな。カードを止めなきゃ」と思っていると、ディヴィッドから「クレジットカードを預かっているよ」とのメッセージ。急いで席に戻って、カードを受け取る。買い物した後、机にレコードを置いて写真を撮った時に、カードをテーブルに置き忘れてしまったらしい。たまたま同じテーブルの男性客が、置き忘れたカードに気づいて、ディヴィッドに渡してくれたのだ。落としたのが、JALカードだったのもラッキーだった。何せ400人程の観客のなかで、日本人を含めたアジア系は、僕一人なのだから。



デザートを食べていると、バンドスタッフが昨夜サインをお願いしたレコードを席まで届けてくれたので、ライブが始まる前に三階の自室に持っていった。一階の会場に戻ろうとしてエレベーターの扉が開くと、そこにはヴァン御大とバンドマネージャーのピートが乗っているではないか!これ以上ない想定外の展開!御大はエレベーターの奥に立っているが、話しかけられる雰囲気など皆無なので、ポーターのようにエレベーターの端に立ち、三階から一階までの数十秒間、息を止めた。一階に着いて扉が空くと、御大は「ここで降りるのか?」とピートに尋ね、ピートは「まだ一階です」と簡潔に答える(ヨーロッパでは、日本の二階が一階で、日本の一階はグランドフロアという)。

肝心のコンサートの内容については、ようやくニューアルバムから二曲が演奏され、80年代のオリジナル曲も多数演奏された。ヴァンの歌声は力強く、とても8月に80歳を迎えるとは思えない。エッジが効いてブルージーな「Baby, Please Don’t Go」をライブで観られて嬉しかった。
終演後、ピートにサインのお礼を伝え、「さっきはエレベーターの中で死ぬかと思ったよ」と言ったら、「御大には『彼はウェイターです』と言っておいたよ」とイギリス・ジョークで返された。たしかに高級ホテルのディナーショーなので、紺のブレザーを着ていたけれど。
会場で再会したフミコさんに緑茶のお土産を渡して、部屋に戻る。ケリーズ・パブまで行ってみたが、23時近いので店には入らず、少し散歩してホテルへ。洗濯して2時就寝。サインをもらうという最初のミッションを達成したからか、グッスリ眠った。





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